D:A:D試験
INDEX
抗HIV薬と心筋梗塞のリスク評価
D:A:D(The Data Collection on Adverse Events of Anti-HIV Drugs)試験(ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアの計212施設による国際共同コホート)を用いて、抗HIV薬と心筋梗塞の関係を調査した。
評価項目:心筋梗塞(MI: Myocardial Infarction)の発生
観察期間の終了は、以下のうちもっとも早いもの。
心筋梗塞の発症、死亡、患者の最終受診日から6ヶ月後、2008年2月1日
結果(1)
33,308人を対象に、計178,835人/年 観察したところ、580人が心筋梗塞を発症した(1,000人/年 あたりの発症件数は3.2)。
結果(2)
PI4剤とNNRTI2剤の使用と心筋梗塞発生率の関係(1,000人/年あたり)
結果(3)
NRTI7剤の使用と心筋梗塞発生率の関係(1,000人/年あたり)
結果(4)
心筋梗塞の相対危険度(95% CI) | |||||
---|---|---|---|---|---|
ABC 最近の使用 |
ABC 累積使用 |
ddI 最近の使用 |
IDV 累積使用 |
LPV/r 累積使用 |
|
1.70 (1.17-2.47) |
1.07 (1.00-1.14) |
1.41 (1.09-1.82) |
1.12 (1.07-1.18) |
1.13 (1.05-1.21) |
|
下記の項目で調整後 | |||||
直前の総コレステロール、 HDL-C、TG |
1.73 (1.33-2.24) |
1.07 (1.00-1.14) |
1.30 (0.97-1.74) |
1.08 (1.02-1.14) |
1.09 (1.01-1.17) |
直前の血糖値 | 1.69 (1.34-2.14) |
1.07 (1.00-1.14) |
1.41 (1.09-1.81) |
1.12 (1.06-1.18) |
1.13 (1.05-1.21) |
リポハイパートロフィと (または)リポアトロフィの存在 |
1.70 (1.35-2.15) |
1.07 (1.00-1.14) |
1.41 (1.09-1.82) |
1.12 (1.07-1.18) |
1.13 (1.05-1.21) |
直前の収縮期血圧と (または)拡張期血圧 |
1.71 (1.32-2.22) |
1.07 (1.00-1.14) |
1.30 (0.98-1.73) |
1.10 (1.04-1.16) |
1.13 (1.05-1.21) |
糖尿病の存在 | 1.69 (1.34-2.14) |
1.07 (1.00-1.14) |
1.39 (1.08-1.80) |
1.12 (1.06-1.18) |
1.13 (1.05-1.21) |
サマリー
HIV感染者33,308人のコホート調査で、178,835人/年観察したところ、580人が心筋梗塞を発症した(1,000人/年あたりの発症件数は3.2)。
下記の抗HIV薬13剤の中で、心筋梗塞の発症増加と有意に関係していたのは、IDV、LPV/r、ddI、ABCであった。
〈解析対象の13剤〉
- NRTI 7剤;
- AZT、d4T、ddI、ddC、3TC、ABC、TDF
- PI 4剤;
- IDV、NFV、LPV/r、SQV
- NNRTI 2剤;
- EFV、NVP