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ACTG5142

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ACTG5142臨床試験のデザイン

(EFV+2NRTIs群、LPV/r+2NRTIs群、EFV+LPV/r群のランダム化比較試験)

ART–naive N=753 (HIV-RNA 2,000 ≧c/ml, ≧13 years of age, Any CD4 count). N=250:EFV+2NRTIs, N=253:LPV/r+2NRTIs, N=250:EFV + LPV/r (NRTI-sparing群)
*使用したNRTI2剤とは、「3TC 300mg 1×または2×」と「以下の3剤のうちいずれか1剤」である。
 AZT 600mg 2×、d4T 100mg 1×( ただし体重60kg以下では75mg)、TDF 300mg 1× 。

主要評価項目

主要評価項目(1):ウイルス学的失敗までの期間
主要評価項目(2):治療失敗までの期間

(1)ウイルス学的失敗の定義(1,2のいずれかを満たす場合)
  1. 治療開始32週前(まで)に、HIV-RNA量が1 log低下しない、または、再増加する。
  2. 治療開始32週後(以降)、HIV-RNA量が200 c/ml未満にならない、または、再増加する。
(2)治療失敗の定義
「ウイルス学的失敗」もしくは「薬剤の有害事象によるその薬剤の内服中止」のより早い方。

主要評価項目の結果

ウイルス学的失敗

ウイルス学的失敗のグラフ

治療失敗

治療失敗のグラフ
ハザード比:ウイルス学的失敗と治療失敗までの期間 (95% 信頼区間)
  ウイルス学的失敗 治療失敗
EFV群 vs. LPV/r群 0.63(0.45-0.87) 0.75(0.57-0.98)
EFV群 vs. NRTI sparing群 0.86(0.61-1.21) 0.93(0.70-1.23)
LPV/r群 vs. NRTI sparing群 1.30(0.95-1.77) 1.21(0.93-1.56)

有害事象

  EFV群
(n=250)
LPV/r群
(n=253)
NRTI-sparing
群(n=250)
自覚症状(Grade 3-4) 総数 17%(42例) 18%(46例) 17%(43例)
痛みまたは不快感 6%(14例) 6%(14例) 8%(19例)
下痢または軟便 <1%(1例) 3%(8例) 3%(7例)
吐き気 3%(7例) 2%(4例) 3%(8例)
発疹 2%(6例) 1%(2例) 3%(7例)
頭痛 2%(6例) 4%(9例) 1%(2例)
臨床検査値異常(Grade 3-4) 総数 29%(72例) 32%(80例) 43%(107例)
CPK(正常上限の5倍以上) 3%(8例) 3%(8例) 6%(14例)
好中球数(750/ml未満) 4%(11例) 7%(18例) 5%(12例)
LDL-C(190 mg/dl以上) 3%(7例) 1%(2例) 6%(14例)
中性脂肪(750 mg/dl以上) 2%(6例) 6%(16例) 14%(34例)
肝トランスアミナーゼ(正常上限の5倍以上) 4%(10例) 6%(16例) 8%(21例)
リパーゼ(正常上限の2倍以上) 9%(22例) 4%(11例) 5%(12例)
リポアトロフィ 3%(8例) 1%(3例) 0

NRTI-sparing群は他の2群に比べて臨床検査値異常(Grade 3-4)が有意に高かった(p<0.01)。

耐性変異のまとめ

  EFV群(n=250) LPV/r群(n=253) NRTI-sparing群
(n=250)
  p値(vs
NRTI-
sparing群)
  p値(vs
EFV群)
  p値(vs
LPVr群)
ウイルス学的失敗例 60例(24%)   94例(37%)   73例(29%)  
上記のうち
遺伝子検査が可能だった例
46例(77%)   78例(83%)   56例(77%)  
何らかの変異
(PIのマイナー変異を除く)
22例(48%) 0.03 16例(21%) 0.002 39例(70%) <0.001
NRTI関連変異 14例(30%) 0.02 15例(19%) 0.19 6例(11%) 0.23
M184V 8例(17%) 0.01 13例(17%) 1.00 1例(2%) <0.01
K65R 3例(7%) 0.09 0 0.05 0 NA
TAM 2例(4%) 1.0 1例(1%) 0.56 2例(4%) 0.57
NNRTI関連変異 20例(43%) 0.03 2例(3%) <0.001 37例(66%) <0.001
K103N 11例(24%) 0.002 0 <0.001 31例(55%) <0.001
PI関連変異 39例(85%) 0.61 61例(78%) 0.48 45例(80%) 0.83
PIのメジャー変異 0 0.50 0 NA 2例(4%) 0.17
2クラスの薬剤に対する変異 12例(26%) 0.01 1例(1%) <0.001 4例(7%) 0.16

サマリー

EFV+2NRTIs群、LPV/r+2NRTIs群、NRTI-sparing(EFV+LPV/r群)のランダム化比較試験において、

  1. EFV群は、LPV/r群よりもウイルス学的失敗が少なかった。
  2. NRTI-sparing群のウイルス学的効果はEFV群と同等であったが、他の2群に比べて臨床検査値異常(Grade 3-4)が有意に高く、また薬剤耐性変異が生じやすかった。

Riddler SA, et al. NEJM 2008; 358: 2095-2106

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